スタンドバイユー
それは彼が、人気俳優だから、とかそんなんじゃない。



彼がどんな仕事をしていたって、






あたしは間違いなく、彼と恋に落ちていた。





あたしは俳優の有樹 愛を好きになったんじゃない。




有樹 愛っていう人、そのものを好きになったんだ。




あったかくて





優しくて






不器用で






そんな彼を好きになったんだ。





耳を澄ますと、アパートの階段を昇るスキップするような足音がする。





きっと、もうすぐ。




「好ーっ!!」




ドアを開けて、彼が入ってくる。




「仕事、終わったの?」



「あと一本ラジオが入ってるんだ。でも、時間空いたから」




彼が微笑む。




「あ、コーヒーがいい?紅茶がいい?」




「好、がいい」




真っ赤になるあたし。



それを彼がまた、あのいたずらっコの目で覗き込む。



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