スタンドバイユー
「この爪さ、」




言いながら、あたしのペティキュアを塗った足の親指を撫でた。





「俺の為?」





って、優しく聞くから





「…ん、」




なんて、素直な返事が口からこぼれた。





「すげぇ、嬉しいんだけどさ、…俺以外の奴には見せたくないなぁ」って、





ビニール袋から、かわいいレースの靴下を出して履かせてくれた。




「んで、これは俺からのプレゼント」





愛が箱の中から取り出したのは、底がぺたんこの可愛い赤い靴で。




そっとその靴を履かせてくれて。



「立てるか?」




あたしに右手を差し出して、




「それともまた、してやろうか?。お姫様抱っこ」




耳元で囁いた。




「もう!歩けるって…。ありがとう」





ちいさな声で呟いたあたしに、




「どういたしまして」




って、




あたしの手を握って、歩き出した。



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