スタンドバイユー
「どれ、見せて。」



愛があたしの前にひざまずいて、サンダルを脱がせた。



「あー、あ。血、出てんじゃん」




ちょっと待ってて。



って、彼はあたしを置いて走って行ってしまう。




あー駄目だなぁ、あたし。



天を仰いで、ひとりで落ち込んでいたら、ビニール袋と長方形の箱を持って戻ってきた、愛の姿が目に入った。




「なぁーに、泣きそうな顔してんだよ」言いながらまた、あたしの前にしゃがみこんだ愛。






ビニール袋から消毒液を取り出して、あたしのかかとを消毒してくれようとする。




「じ、自分でやるから!」



言ったあたしに、





「ほら、遠慮しなーい!」



自分の膝の上にあたしの足をのせて、




「ちょっと、染みるぞ」って、消毒して絆創膏を貼ってくれた。



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