一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 思えば以前、彼らの両親も意味深な話をしていた。

 あの時はなんの話をしているのかわからなかったが、誘拐された過去を言っていたのではないだろうか。

 そしてなぜ智秋さんが、わざわざ京都から私を見に来たり、こんなふうに別れろと言ったりするのかも理解できてしまった。

 彼もまた、自覚があるのかないのかは知らないが誘拐事件の過去に囚われている。

 幼い弟をその時も必死に守ろうとしたのだろう。だから今も兄として彼を傷付けるすべてのものを排除しようとするのだ。

 それがたとえ、深冬本人が望んでいる妻(わたし)であっても容赦なく。

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