一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「優しい義兄は弟と離婚しろとか、消えてほしいって言わないと思うんですよね」

 本気で危険を感じた時間の仕返しにちくりと言い返す。

 これからも彼に対しては穏やかなだけの懐っこい人ではないと忘れないようにしよう。

「杏香が望むなら智秋を出禁にしてもいいが。二度とアモラリアにもタチバナホテルズが経営するホテルにも入れないようにする」

「君ね、いくらなんでも兄にそこまでするかい」

「少なくとも新年はそっちに帰らないからな。しばらく顔も見たくない。――帰ろう、杏香」

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