一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「よかった。もう私を庇ったりしないでね」

「約束はできない。二度とお前を失わないためなら、どんなことでもすると決めたからな」

 私と彼の違いはそういう考え方だったのだ。

 私は二度と失わないために手放そうとしたが、彼は自分にできる努力をなんでもするつもりでいた。そして実際、身の危険も顧みず私を助けてくれた。

「あなたの前向きなところが好きだな」

 しみじみと言った私を、深冬は不思議そうに見つめた。

「俺は前向きになろうと頑張る杏香が好きだ。否定的に考えてもそんな自分を変えようと悩むだろう? 悩んだ時間の分だけ踏み出す勇気が必要になるのに、それでもまた俺を選んでくれた」

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