一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「一歩も引かないあなたに勇気をもらったのかもしれないね」

「深く考えずに行動しただけだ」

 深冬は私の腕を取ると自身の頬に摺り寄せた。

 彼らしくない妙な色気を瞳に滲ませ、私に向かってふっと微笑む。

「シャワーはもう浴びたのか?」

「……うん。その方がいいと思って」

 なんのためにかと言われたら、理由はひとつしかない。

 何度もキスをした夫婦だというのに、急に気恥ずかしくなって彼を見られなくなった。

「寝室で待ってる。私が寝ちゃう前に早く来てね」

「眠っていても気にせず襲うと思うが」

 側にはいたいが話している時間が惜しいと深冬の顔に書いてある。

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