一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 知り合いというには近すぎて、元恋人だというには遠すぎる。

「すみません! バーラウンジって予約必須ですか? 今からでも行けるなら場所を押さえてほしいんですが」

 そこに宿泊客の男性が若い女性を伴って現れ、すっと頭がプライベートから仕事に切り替わる。

「はい、バーラウンジですね。どういった席をご希望でしょうか? スタッフに確認いたします」

 心の内は隠して笑顔を作り、完璧な接客を行うのが私の仕事。

 たとえいつかは顔を合わせるだろうと思っていた彼との再会が想像よりずっと早くても、目の前のお客様には関係ないのだ。



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