一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
どちらにせよ、私は再び彼に会うつもりがなかった。
もう私の中で彼は過去の人になっている。十年かけてゆっくりと塞いだ傷を表に出したくないという思いも強い。
社長としての呼び出しならスタッフとして受け入れるが、そうでないなら応える義務はないはずだ。
公私混同などしないだろう。彼は老舗旅館たちばなの御曹司で、有名なホテルグループを経営する社長なのだから。
自分に言い聞かせるようにしてスタッフルームからロビーへ出ると、フロアの中央に並んだソファのひとつに座る影があった。
今の彼を見たのは二時間前が初めてだ。それなのに私は難しい顔をして待つ横顔を深冬だと気付いてしまった。
もう私の中で彼は過去の人になっている。十年かけてゆっくりと塞いだ傷を表に出したくないという思いも強い。
社長としての呼び出しならスタッフとして受け入れるが、そうでないなら応える義務はないはずだ。
公私混同などしないだろう。彼は老舗旅館たちばなの御曹司で、有名なホテルグループを経営する社長なのだから。
自分に言い聞かせるようにしてスタッフルームからロビーへ出ると、フロアの中央に並んだソファのひとつに座る影があった。
今の彼を見たのは二時間前が初めてだ。それなのに私は難しい顔をして待つ横顔を深冬だと気付いてしまった。