一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 左右と正面、その三部屋しかないアモラリアスイートで彼が宿泊するのは正面のアルビコッカの部屋だ。

 彼は先ほどエレベーターのパネル上部に差し込んだカードキーを今度は部屋のドアに差し込む。

 ピッという音とともにドアが開くと、深冬は私を中へ引きずりこんで内側に背中を押し付けた。

「あ……っ」

 閉まったドアが私の退路を奪い、彼のキスを強引に受け入れさせる。

 エレベーターの中でされたよりもずっと深くずっと激しい口づけに、呼吸も忘れて彼の背へ腕を回した。

 応えたくないし、応えるわけもなかったのに、どうして私は自分から背伸びをして彼を求めているのだろう?

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