一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 呼吸ができなくなって顔を背けようとすれば、深冬の手が私の顎を捉えて固定した。涙がにじむほど苦しいのに、もっとキスを続けたい気持ちに追い立てられて彼の舌を受け入れてしまう。

「ずるいよ、こんなの。嫌いになったならあの時ひと言でも残してくれればよかった。どうしてなにも言わずにいなくなったの。ずっとあなたを探してたんだよ……」

 とうとう堪え切れなくなって想いと涙が一緒にあふれだす。

「祖父が亡くなったんだ」

 深冬は永遠に続くかと思われたキスを中断させると、私をきつく抱き締めて言った。

「え……。それは……いつ?」

「お前と迎えたクリスマスの夜に」

 息を乱した深冬の表情が陰る。
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