一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~

「お前が眠った後、兄から電話があった。祖父が亡くなったから急いで家に戻って来いと。メモを残したんだが……見なかったんだな」

 初めての夜を経て迎えた朝、私は深冬の姿がないことに動転して周囲をきちんと見なかった。なにかあるのなら連絡があるだろうとスマホを確認しただけだ。

「メモなんて気付かなかった……。でも、そういうことなら連絡に応えてくれればよかったじゃない。でもあなたは一度も返事をくれなかった」

「大往生だったとはいえうちのトップが急に亡くなったんだ。跡継ぎの問題や経営をどうするか、葬式どころじゃなくなってな。孫の俺と兄も巻き込まれて、まともに連絡できる状態じゃなかった」

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