一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 簡潔に説明してから、深冬は私を見つめた。

「本当に悪かった」

 十年前に付けられた傷がじくじくと痛んで疼きだす。

「兄がたちばなを、俺がホテルの経営に携わることになった。本当はもう少し跡継ぎになるまで猶予があったはずだったのにな。大学も強制的に辞めさせられて、海外にいる父のもとで徹底的に仕込まれたんだ。何度もお前に連絡したのに返事がなくて……。会えなくなった俺に愛想が尽きたんだろうと思った」

「違うよ。たぶん、新しい携帯に変わった頃だから……。それに私の方こそあなたに捨てられたんだと思ってた。だから連絡を取るのを諦めたんだよ」

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