片恋
その中から、伊月くんが好きになる女子が出来たらどうしよう……。

私なんて、たまたま席が隣だっただけで……。

マイナス思考が、頭を回る。


「えー、てか、付き合ってなかったんだ。真桜ちゃん、絶対伊月の彼女だと思ってた」


延藤くんが感心するように呟いて、思考が元に戻る。


「いや、俺さ、去年も結構真桜ちゃんたちのクラスに、遊びに行ってたんだよね。友達がいたから」

「ほら、あいつ」と、延藤くんは、クラスメイトの男子を指差す。

去年も同じクラスだった、折原(おりはら)くん。


「女子にかっこいいって騒がれてる伊月が、いつ見ても同じ女の子と一緒に音楽聴いてるから、その子が彼女だと思ってたんだ。あれって、真桜ちゃんだったよね?」
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