片恋
「うん、困った顔も、可愛いよね」

「……」


この人、皆にも同じこと言ってるんじゃないのかな。

現に、成美ちゃんにだって言ってたし。


「私、先に教室に戻る……」


ゆっくりと背中を向けて、廊下を逆戻りしようとする。


「いいの? 伊月のこと、口止めしなくても」


試すように投げかけられた問いに、私は再び振り向いた。
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