エリート警視正は偽り妻へ愛玩の手を緩めない【極上悪魔なスパダリシリーズ】
その言葉が正しいことを証明するかのように、彼の上着の胸ポケットで、着信音が鳴った。
私が見上げる中、純平さんはサッとスマホを取り出し、「瀬名だ」と短く応答する。
一瞬にして、厳しい警察の顔つきを取り戻し、何度か相槌を打った後、電話を切ってポケットに戻した。
その間、固唾を呑んで見守っていた私を、顎を引いて見下ろし、


「三人とも、作倉の仲間の構成員だ。全員、身柄を拘束した」


淡々と教えてくれた。


「ほんとに? よ、よかった……」


心の底からホッとして、胸を撫で下ろす。
だけど、純平さんの表情は和らがない。
むしろ、複雑そうに歪めて、顎を摩ってなにか逡巡している。
そんな様子に、また新たな不安が湧いてくる。


「あの……純平さん?」


上目遣いで、探るように名前を呼ぶと……。


「お前にも、事情を聞きたいんだが」

「! はい、もちろんです!」


事件解決のために当然の要求なのに、どうして歯切れが悪いんだろう。


「今から、警視庁に行きますか?」


思い切って自分から促してみる。
純平さんは、無言で何度か首を縦に振って、


「お前の聴取は、俺が行う」


それだけ言って、踵を返した。


「っ、え?」

「無様な車で悪いが、乗ってくれ」


肩越しの視線で私を促し、自分は颯爽と運転席に乗り込んだ。
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