さようなら、同い年のあなた
「お休みって、今日は何月何日ですか?」

「六月七日ですよ」


そうなんだ。六月七日ね、何曜日なんだろ。


カレンダーがないかと見渡したけれど、真白い壁があるばかり。しかたないので話題を膨らませる方を優先する。


「じゃあもうすっかり梅雨ですねえ」

「最近雨ばっかりなんですよ。ちゃんと天気予報見ててるてる坊主をつるしてるのに、晴れてくれなくて」


あんまり渋い顔をするので、思わず笑ってしまう。


あのひとも雨が好きじゃなくて、てるてる坊主をよく作った。子どもじみた願掛けが可愛いひとだった。


「顔をかくといいんですよ」

「かいてはみてるんですけどねえ。とりあえず、雨の日は好きなもので気を紛らわせてます」

「何が好きなんです?」

「黒じゃない服着て、煎餅ばっかり食べてます」


黒だと暑そうじゃないですか。煎餅は美味いし。


「わたしもおかき好きですよ。飲み物ないとつらいですけど」

「水飲んどけば大丈夫ですよ」

「雑だなあ」


くつりと笑いがもれた。


話の片手間におやつをつまみながら、適当に汲んだ水を喉に流し込んでいたあのひとを思い出す。
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