身代わり花嫁は若き帝王の愛を孕む~政略夫婦の淫らにとろける懐妊譚~
――仁さんと一緒にこの子を育てることができれば、どんなによかったか……。
だが、今の仁と結婚したところで、温かい家庭が築けるとは思えない。
気持ちに蓋をして、自分がすべきことだけを考えるようにする。
「……水無瀬家を出ていけるだけのお金を貸してください」
そう説明するだけで仁はすんなり納得してくれた。お金の使い道や目的など、細かいことを聞かないのは、信頼してくれているのか――あるいは早く手を切りたいと思っているのか。
「わかった」
車は仁のマンションの地下駐車場に入っていく。部屋に着くと、そのまま書斎に連れていかれた。
鍵のついた引き出しから紙の束を取り出し、ペンを走らせ、慣れた手つきで押印する。
差し出されたのは小切手で、一千万と記されていた。
「こんな……大金……」
「勉強なり起業なりするつもりなんだろう? それくらいは必要なはずだ。工房なんかは働いていても、半人前のうちは給料が出ないなんてこともあるらしいからな。だが、経験は金に換えられない」
仁は椿が家を出て起業する、あるいは工房へ就職すると思っているようだ。
だが、今の仁と結婚したところで、温かい家庭が築けるとは思えない。
気持ちに蓋をして、自分がすべきことだけを考えるようにする。
「……水無瀬家を出ていけるだけのお金を貸してください」
そう説明するだけで仁はすんなり納得してくれた。お金の使い道や目的など、細かいことを聞かないのは、信頼してくれているのか――あるいは早く手を切りたいと思っているのか。
「わかった」
車は仁のマンションの地下駐車場に入っていく。部屋に着くと、そのまま書斎に連れていかれた。
鍵のついた引き出しから紙の束を取り出し、ペンを走らせ、慣れた手つきで押印する。
差し出されたのは小切手で、一千万と記されていた。
「こんな……大金……」
「勉強なり起業なりするつもりなんだろう? それくらいは必要なはずだ。工房なんかは働いていても、半人前のうちは給料が出ないなんてこともあるらしいからな。だが、経験は金に換えられない」
仁は椿が家を出て起業する、あるいは工房へ就職すると思っているようだ。