過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜

極上の甘い罠

大我との関係が過保護な兄と妹みたいなものから恋人に変わって数週間。

今までとは打って変わって甘い生活を送っている。

和室を自室にしていた私だったけれど、あれから大我の寝室が2人の寝室になった。

そして大我は起きている時でもベッドの中でもことあるごとに私に触れては、"可愛い"とか、"好きだ"とか甘い声で囁いてくるものだから堪らない。

大我曰く、"ちゃんと伝えずにすれ違っちまったから、これからは思ったことは思った時に全部伝えるって決めた"んだそうだ。

そんな甘く豹変した大我に、私は毎回赤面させられている。

私たちがお付き合いすることになった報告を受けた遥くんは、"やっとか"と嬉しそうに顔を綻ばせた後、"羽衣ちゃんが竜に攫われた時はどうなるかと思ったけどな"と苦い笑いを溢した。

あの日、私を先に車へ促した後坂崎さんは、遥くんに大我への伝言を残していたそうだ。

"てめえんとこのちびは預かって行く"と。

それはまるであの時を彷彿とさせるようなセリフだけれど、今回のこのセリフには続きがあって、

"羽衣坊のこと、1人の女として大切に思ってんなら奪い返しに来い。でもそうじゃなかったら邪魔すんな"

と、坂崎さんはそう言ったらしい。

それであの日のあの状況が出来上がったという訳だったのだ。
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