過保護な次期社長の甘い罠〜はじめてを、奪われました〜
「……ん…んんっ……⁉︎」

突然のそれに大我の胸を叩いて必死に抵抗するも、彼は止まってくれない。

顔だって固定されていて、逃れられない。

なにも、考えられない。

だんだん力が入らなくなってきてされるがままになるしかなくなった私は、胸を叩いていた手で大我のシャツをぎゅっと握るしか出来ない。


「羽衣、お前、オレに名前呼んで欲しかったの?」

「……っちっ、ちが……っ」

私の唇を味わい尽くし、ようやく数センチ離れたところで彼の口角が意地悪く上がる。

否定しようにも私はもう息も絶え絶えで、身体に全く力が入らない。

頭も溶かされてしまったようで、思考も完全に停止している。

そんなへにゃへにゃな私を支えながら、




「ーーーー安心しろ。これからは名前で呼ぶって決めた。

ーーーーだからお前はもう、ちびすけ卒業だーーーー。」




そう言って街灯の薄明かりに照らされて色香を伴う獣のような危険な笑みを浮かべた大我は、私が今まで見たことのない、男の顔をした大我だったーーーー。









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