奇跡〜だいすきなひと〜
あっという間の3ヶ月だった


私が君と出逢って一緒に過ごした時間


大好きだから離れたくなかった


でも、大好きだから離れたくなかった











「パパ、行ってくるね。」






写真から返事は返ってこない。


7年前、私がまだ11歳のとき、パパは仕事中


に亡くなった。


西日本で起きた震災に救助活動で行くと、


そのまま帰って来なかった。


自衛隊で派遣されて家の下敷きになってた


家族を助けたあと自分が逃げ遅れて余震で


家の下敷きになった。


パパの遺体は全身傷だらけで、骨も数本折れ


てた。致命傷は上半身に突き刺さった柱で


その柱はお葬式のときも残されてて、その


部分に布がかけられてた。


最近、記憶が薄れてきてて、パパの顔も写真


以外の顔が思いだしづらくなった。声も遠い。


7年間パパのことを考えなかった日はなかっ


たけど、7年という長い年月が記憶を風化さ


せていってる。


「あかり遅刻するわよ〜。」



「はーい!行ってきまーす!」


毎日遅刻ギリギリに滑り込む。自転車を全力


で漕いで、駐輪場から教室までダッシュ。


今日も間に合いますように!


自転車を漕いでるといつもひっかからない長


い信号に引っかかった。ここ引っかかると


やばい。急遽道を抜け道に変更。抜け道を


漕いでると、前から男の子がすごい勢いで


こっちに向かってきた。傾斜の加減でむこう


が下ってきてる。

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