奇跡〜だいすきなひと〜
次の日の朝、私の担当の医師が部屋に入って


きた。


「あかりちゃん、下半身の様子を見たいから、


あと数日入院してほしいの。」


「、、分かりました。」


あと数日入院か、、、


早く退院したいな。学校にも行かないと授業


においていかれるし、、、


医師が出ていこうとしたときに私はあること


を聞いた。


「私とぶつかった人って、、、?」


自分のことでいっぱいいっぱいだったけど


一人で事故ったわけじゃないから同じように


怪我してる人がいるはず。


「その人なら隣の部屋にいるわよ。」


「ありがとうございます。」


行ってみようかな。会ってちゃんと謝りた


いし。



コンコンコン


隣の部屋の扉をノックした。私の部屋までが


小部屋で隣の部屋からは大部屋。


部屋の扉にはられてる名札を見てる限り、


私と事故った人候補は一人しかいない。


『本多永遠』


ほんだ、下の名前はなんて読むんだろう。


あとのみんなの名前がお年寄りの名前すぎて


名札では一目瞭然だった。


部屋に入ってみると手前に数人お年寄りがい


て、奥にカーテンが貼られてるベッドがあっ


た。近づいて、


「すいません。」


そう声をかけると少しハスキーな声がカーテ


ンの向こう側から帰ってきた。


「誰ですか?」


「咲原あかりです。」


名乗ってはみたけど初対面の人。名前を聞い


てわかるわけがない。だから、


「昨日事故った相手です。」


ちゃんと付け加えた。すると、中からカーテ


ンが開けられた。


そして男の子は私と目があうとすぐに謝って


きた。


「昨日はほんとにごめんなさい。」


「私の方こそすみませんでした。急いでた


せいで、、、お怪我ないですか?」


「俺は大丈夫。君は?」


「私は大丈夫です。この足も、、、すぐ治る


って言われてるんで、、、」


うまく笑えたかな。バレてなきゃいいけ


ど、、、


自分と事故ったせいで相手が下半身不随に


なったとかしんどすぎる。


「あっ、俺名乗ってなかったですよね?


本多永遠(ほんだとわ)です。」

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