シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
 そんなだから、11歳にして人生をつまらないとか言ってしまうような子供だった。


 だからわたしはあのとき……。


「ま、そういう事だからユキちゃんがギンの女になるのはほぼ決定ってみんな思ってるってこと」

 思考が過去に飛びそうになったところで、颯介さんがそう話をまとめるように言った。

 ハッとしたわたしは思考を今に戻す。

 そして思う。


 ……だとしても、わたしは納得いかない。

「わたしは了承してませんけどね!」

 勝手に決めないでほしい。

 それがわたしの率直な意見だった。


「まあ、とりあえずそれは置いといて……。そういうわけだから、俺兄さんに言われてたんだよ」

「……何を?」

 納得はいかないけれど、いつまでも文句ばかり言っていても話は進まない。

 とりあえずそう思って、不満を見せながらも眞白の言葉の続きを促した。


「義姉さんが、兄さんのものになる気になったら連れて来いって」

「…………は?」

 えっと……とりあえずわたしはあの人のものになるとか了承していない。

 でも、現状は眞白に連れてこられたって状況で……。


 わたしはバッと立ち上がって荷物を手に取る。

「わたし、ここに住むのは無理!」

 すぐにそう決断をして出て行こうとする。
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