シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する
「んー、何て説明すればいいか……とりあえず、兄さんには他にもちょっとやるべきことがあってさ、今はそっちを優先してるんだ」

「ふーん……でも在籍してるのに授業受けないの? 留年しちゃわない?」

 いくら経営者側でも授業も受けない生徒を卒業させることは出来ないでしょう。


「あ、いや。リモート使ったり個別で授業受けたりして必履修は出来てるはずだよ」

「そうなの? でもなんでまたそんな面倒なことを……?」

 出れるときだけでも教室で授業を受けた方がいいんじゃない? と不思議に思う。


「……中学のころからかな? クラスメートから兄さんがいると授業に集中出来ないって相談が増えたらしくてさ」

「は?」

「もともと美形だったけど、何ていうか……妖艶さが加わってきて、フェロモンみたいなのが(かも)し出されてるとかなんとか」

「……」


 あー……うん。

 何となく分かった。

 ギンの妖艶で色っぽい雰囲気は見ていれば分かるし、同じ教室にそんな人がいたら確かに集中できないかも。


 それに彼が眞白から聞けって言った意味も理解する。

 そんなこと自分の口から言いたくないよね。

 わたしでも嫌だ。


「うん、まあ、分かったよ」

 ちょっと遠い目をしながら理解の言葉を告げた。
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