むり、とまんない。


「じゃあ、もうちょいキスしたら寝よっか」

「ふっ、はぁ……」


もう頭はぐらぐらだし、めまいがする。

視界は潤んで、もうとっくに全身から力が抜けてるのに。


「一回休憩な。
でも、まだだよ」


まだ寝かせない。


そう言わんばかりに、口角をあげて、濡れたまぶたにキスを落とされる。


「ちょっとまってて。
服、とってくるから」


寝ちゃだめだよ。


ふわふわと私の頭をなでたあと、顔にかかったサイドの髪をそっと耳にかけられる。


そして最後にクスッと笑って私を横たえると、ベッドから降りて部屋を出ていく。


寝ちゃだめって言われてるのに。


なんか頭ふわふわしてるせいか、眠くなってきた……。


まだ遥は戻ってきてない。


まだ寝ちゃだめ。


そう思ったけれど、少しだけ……と、目を閉じた瞬間。


一気に疲れが押し寄せてきてすぐに夢の中へと落ちていく。


「あーあ、気持ちよさそうに寝ちゃって」


それからすぐ。
遠くで遥の声が聞こえたけれど。


「おやすみ、胡桃」


『大好きだよ』


その声に、今度こそ私は眠りへと落ちていった。
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