むり、とまんない。


「はいはいわかったっつーの。
じゃ、あとで」


それから、やっと電話がきれたと思ったら、スマホはそこら辺にポイして、ガバッと抱きついてきた。


「っ、もう、なにしてるの……!」


「だからその声もやばいんだって。
朝から誘ってる?」


「ちがう!」


だれのせいで……!

ポカポカとその胸を叩いても、クスクス笑うだけ。


「声我慢してんの、ほんっとにかわいかったよ。
ごめんな、いじわるして」


許してと言わんばかりだけど。

遥、頬ゆるゆるなの、隠せてないよ。


「だって好きな子ほどいじめたくなるじゃん?」


「っ、知らないよ、ばか……」


「胡桃のばかって、最高だよな」


「っ、もう……っ、」


「清見、9時に迎えにきて、すぐ仕事行くことになった。今日は午後からって言ってたのに、ごめんな」


「ううん」


お仕事だから。

忙しいのは分かってる。
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