むり、とまんない。


「でも、やっぱり不知火くんを思えば、crownに勝ってほしいって自分もいるから」


「うん……」


「あたしは見るだけにしとくよ」


「あーちゃん……」


きっとcrownに入れたいはず。

でも私のために、それはできない。


あーちゃんに、いやな思いをさせてる。


「今、ごめんって思ったでしょ?」

「え……」


「ほんっとに分かりやすいなぁ、胡桃は。
べつに私、我慢なんてしてないよ」


「でも……」


「むしろ、素直に親友の恋を応援できない自分が情けないよ」


「っ、そんなことない……っ」


遥とのことで、何度もあーちゃんに救われた。

何度もアドバイスをもらった。


あーちゃんがいなかったら、今の自分はいない。


何度お礼を伝えても伝えきれないほど、あーちゃんには感謝している。


「あー……このまま氷といっしょにとけちゃいたい」


「え?」


「胡桃の心の声、代弁してみた」


クスッと笑ってあーちゃんは言う。


「胡桃は今、胡桃ができることをしようよ。
遥くん、忙しいんでしょ?胡桃は胡桃なりにできることがあるはず」


「うん……」


「はい!じゃあ、この話は終わり!
とにかく!今は文化祭の準備気合い入れていくよ!接客もそうだけど、メニュー考案もがんばんなきゃだから!」


「そ、そうでした……」
< 294 / 346 >

この作品をシェア

pagetop