むり、とまんない。


ニヤリと笑ったふたりに、下へ下へと落ちていく気持ちがぴたりと止まった。


「え、まさか……み、見てたの……?」


いつから、とは聞かなかった。


「うん」

「もうバッチリ☆」


「っ、さ、最悪……っ」


傍(はた)から見ればただ無言で向かい合わせで立っているように見えただけかもしれないけど、私の秘密を知ってるふたりは、どういう状況だったか分かってたはず。


いくら見られた相手が幼なじみと姉とはいえ。

はずかしいこと、この上ない……。


「で?
そんなにうろたえてるってことは、遥の心の声、やっぱやばいんだ?」


「それ!めちゃくちゃ気になる!あんなすました顔してるけど、実際どうなの?あたしたちだけには教えてよ〜!」


しんみりとした空気だったのに、一気に目をキラッキラにするふたり。

ちょっ、急にグイグイくるじゃん!!


「まってまって!
ち、ちなみに遥は私の秘密、し、知らないんだよね……?」


教えて教えてと顔を近づけてきたふたりから離れるように、両手を前につきだす。


「うん、言ってない。
ていうか、教えてくれればよかったのに!心の声が聞こえるなんて、めちゃくちゃおもしろいじゃん〜!」


杏……これ、ネタじゃないからね?


私がどれだけ悩んだと思ってるの。


こっちは嫌われてると思っていたのに、まさか「かわいい」と思われてるとか、予想外すぎて。
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