むり、とまんない。


「……ぜったい?」

「ぜったい。
なに、呼びたい男いんの?」
『どこのどいつ?
あー……頭おかしくなりそう』


「っ、いない、けど……っ」

「ならいいじゃん。
俺だけで」
『他の男に胡桃のかわいい声聞かせるとか正気でいられる気しない」


っ〜!!


「わ、わかったから、早く買い物行こうよ……」

「ホントにわかってる?」
『胡桃は、自分がどれだけかわいいかわかってない』


「わかってる!
だからこの手、はなして……!」


「だめ。
前にスーパーで変な男に引っかかってただろ。だから離さない」
『牽制だよ。分かれよ』


分かんないよ……。

それから結局、そのままスーパーへと行ったわたしたち。


ただでさえ遥はマスクをしていてもオーラが目立つというのに、私の心はいろんな意味でうるさかった。
< 92 / 346 >

この作品をシェア

pagetop