その星、輝きません!
「仕事と友達か……」

 そう言った彼は、なんだか嬉しそうな笑みを見せながら、グラスにワインを注いだ。


「何んだか、嬉しそうだけど?」


「そうか? あんたと一緒に居ると、面白い事が多いからな」


「ええ? そうかな?」


「自分じゃ、気づかないんだな?」


 彼は、そういうと何が可笑しいのか、声を出して笑い出した。


「何がそんなに面白いのよ。もう!」


 私はクッションを手にして、彼に投げつけた。
 そして、ワインを口に流し込む。ああ、美味しい。


 すると、今度は、彼のスマホが震えた。


「ごめん。秘書からだ……」


 彼は、少し機嫌悪そうに表情を変え、スマホを手にした。


「どうぞ」


 彼が、スマホを耳に当て、部屋を出ていく。


 ゆっくり、ワインの入ったグラスを口に運びながら、空を見上げる。
 本当に綺麗な星空だ。


 私も、良太が輝いて見える場所から、見守りたい。また曇ったとしても、輝いて見える場所を見つけていけばいい。


 そして、彼の事も…… 


 ふと、そんな事を思ってしまった。ちょっと飲みすぎたようだ。一瞬浮かんだ思考をかき消すように、大きなクッションに寄り掛かかった。


 海からの風と、空一杯の星に包まれているうちに、いつの間にか目を閉じてしまっていた。

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