その星、輝きません!
「今夜は、星が多いな」

「そうね。私達の見方が変わったのかな?」


「そうだな、見方が変われば、輝いて見える物は多いかもしれないな」


「ねえ? 良太が、スポーツクラブに就職する事、知っていたの?」

「まさか。良太からは聞いてないよ。どうしてだ?」


「だって、あまり驚いてなかったから。私は、良太がバイトにそんなに力を入れてるなんて思ってなかったし」

「なんとなく、そうしたいんじゃないのかなと思っただけだ。そりゃ、俺の会社で働いてくれたら、伸ばせる事も沢山ある人材だと思ったのも事実だ。だけど、すごく楽しそうにバイトしているように見えたかからな。それに、皆から必要とされてた。それって、簡単に出来る事じゃないだろ?」


「そうだったの…… 良太が、楽しいと思えているのなら、そんなに幸せな事はないわ。あの子の人生だものね」

 夜空一杯に広がっている星を見上げた。


「ああ。認めてやれ。どういう生き方をしなければならないって事は、誰にも決まっていないんだから。どう生きるかは自分で決めればいい。大事なのは、自分で決断して、自分の人生に責任を持つ事だ」


「良太、輝いていたなぁ」


「なあ? 星那から見て、俺は輝いているか?」

 私は、彼の顔をじっと見つめた。
 彼は、少し不安そうな顔で、私を見ている


「どんなに曇っている時でも、必ず、私が輝かせてあげる。あなたは、あなたのままでいい。だから、無理に輝こうとしないで…… そして、ずっと私と一緒に、笑えばいいじゃない。時には怒ったりね」


 大事なのは、人から輝いて見られる事じゃない。
 今、自分に出来る事を、やればいいのだ。
 それが、どんな小さな事でも…… 
 それだけで、人は輝いているのだから……

 そして、その輝きの中に、人を思う事、誰かを守る強さが詰まっているはずだ。


 彼の手が伸びてきて、私の頬を包んだ。

 重なった唇から、いくつもの星が輝き出した。
          
                              ~完~
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