あなたと出会って世界が変わる
「借り物競走に出場の選手は入場門に集まってください」


「あ、私だ。行ってくるね」


「がんばってね」


みんなの応援を後に入場門へと向かう


知らない人ばかりで緊張するけど、がんばって1位を目指そう


なんて思っていたのに


借り物競争が始まると私は唾を飲み込む


目の前には、出たお題に困って固まっている人やお題で出た衣装に着替えている人たち


「なんで、俺がメイド服なんだよー」


「は?好きな人って告白しろっつーの?」


「バナナ持っている人いますか?」


私は、1番大変な競技を選んでしまった


唖然とする私に段々と出番が迫ってくる


助けを求めるように、4人の方を見ると


私を見て笑っている


前に並んでいる人が走り出し、私の出番が回ってくる


ピストルの合図で走り出すが、お題に着いたのはやっぱり1番最後


余った1枚の紙を開く


『頼りになる人』

4人の方を見ると、動かない私を心配そうに見つめる


頭に浮かんでいる人と目が合うと、恥ずかしくなりお題の紙を握りしめる


このままじゃ負けてしまう


4人のいるテントへと走る


「お題なんだったの?」


「ひなちゃん?」


「どうした?」

心配そうに聞いてくる3人ではなく


「お願い一緒に来て」

そう言って、琉生くんの手を引く


琉生くんは頷くと、私の手を引き走り出す


びっくりする私に


「1位取るんだろ?」

そう言うと、スピードをあげる


こんなに速くは走れたのは、生まれて初めて


1位でゴールすると、琉生が良かったなと言ってくれる


「えーっと、お題確認させて貰ってもいいですか?」


そう言われて、お題の紙を渡す


「お題は…頼りになる人」

係の人は琉生くんに目を向けると


「ま、間違いないですね!1位おめでとうございます」


1位と書かれた列へ案内され、琉生くんと座る


「あの…ありがとう」


「はは、どういたしまして」

眩しいくらいの笑顔を向ける琉生くん


すると、びっくりするぐらいの歓声が聞こえてきて驚く


みんなが見ている先は…琉生くん?


改めて、蘭流の凄さを感じる


競技が終わりテントへ帰ると、1位を喜んでくれるみんな


「次、俺らだ」


「がんばってね」


3人が入場門へと向かい、残ったのは奏くんと私


「ひな喉乾いてない?」


「うん。買ってこようかな」


「いいよ。僕が買ってくるから、ひなは皆の応援してあげて」


そう言うと、自販機へと行ってしまう奏くん


さっきよりも、元気がない


体調悪いとかじゃないよね


競技が始まり、グラウンドへと目線を向ける
< 162 / 180 >

この作品をシェア

pagetop