fate
制限時間

何日待っても、何回メールを送っても、梨のつぶてだった。

電話にも多分、出てもらえないんだろう。



考えた末に、会社の電話を使うことにした。

深呼吸をして気合を入れてから、K支店の短縮ダイヤルを一桁ずつゆっくり押した。


『はい、K支店の立花です』

「お疲れ様です、業務グループの上田です。

あ、あの、在原さんいらっしゃいますか?」


食い気味に喋るあたしに、事務の女性の怪訝そうな声が返ってくる。

『在原さんは、有給消化中でお休みですよ?』

有給消化?
それってどういう意味……?


「お休みなんですね、分かりました。
失礼します」



ゆっくり受話器を置いて呆然としているところに、里香ちゃんが駆け寄って来た。

「はるかちゃん!掲示板見た!?」

「何?見てないけど……」


慌てた様子の里香ちゃんに促され、廊下にある掲示板の前に立った。

< 159 / 186 >

この作品をシェア

pagetop