俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

『パイロットが息子になるなんて最高! しかもイケメンだなんて、やるじゃないつぐみ! あっ、もう〝天澤つぐみ〟さんなのよね。人妻になったのね~』
『人妻って言わないでくれぇ!』


 母ののろけた声に、遠くのほうから父の嘆きが交ざった。うるさい両親……。

 すぐに平常心を取り戻した母と、千里さんのスケジュールのコピーを見ながら予定を擦り合わせ、実家へ行く日は二週間後の日曜日に決定した。


『お父さん、完全にキャパオーバーになってるからまたかけるわね〜』と、のほほんとした母の声を聞いて通話を終了する。父のメンタルが若干心配だが、実際に千里さんと会えば納得してくれるだろう。

 ひとまず実家への報告というミッションも終えたので、身体もさっぱりさせようとバスルームへ向かった。


 それから二日後、夜勤明けの私はあくびを漏らしつつオフィスビルを出た。午前九時を過ぎた今、出勤するらしき人たちとは反対にのんびりと駅へ向かう。

 ターミナルビルに入ったとき、前方からただならぬオーラを感じてはっとした。

 スタイルのよさがわかるタイトなスカートに上品なブラウス、きっちりとまとめた長い髪、しっかりメイクも似合っている小顔。芸能人と見紛うほどの空気を纏ってこちらにやって来るのは、社食で会った以来の宮路さんだ。
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