俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

 まだいろいろと言っている父からなんとか事情を聞いたらしい母は、半信半疑な調子で話し始める。


『つぐみ、まさか本当に結婚したの? 彼氏もいないって、ついこの間まで言ってたじゃない』
「ちょっと急展開になって。あれよあれよと結婚することに……」
『やぁだ、そんなに早く一緒になりたかったの? 運命の人だったのね〜!』


 父とは正反対に大喜びなのが伝わってくる母は、美紅さんと同じく運命だと言う。私は「う、うん、まあそんなとこ」とぎこちなく笑いながら返し、承諾を得ないまま入籍したことを改めて詫びた。

 母は寛大だし、前から私が結婚するのを楽しみにしていたので、予想通り怒られる気配は皆無だ。ただ、当然ながらお相手は気になるだろう。


『このままだとお父さんが廃人になっちゃいそうだし、私も挨拶したいから近いうちに旦那様に会わせてね。お名前は? どんな人? イケメン?』
「名前は天澤千里さん。三十一歳で、日本アビエーションの副操縦士なの。イケメンだし、ちゃんとした人だから安心して」


 母の質問攻めに端的に答えると、『えぇっ!?』と彼女の声がひっくり返った。
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