俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】
整備状態の確認や外部点検をし、客室乗務員とも打ち合わせをしてから那覇空港を出発した。弱い乱気流を抜けて積乱雲の上を通り、予定のルートを進み続ける。
そうして羽田空港まであと一時間弱の位置まで来たときだ。
突然、機体の後方からなにかが爆発したような音が聞こえ、強い振動が起きた。普段の運航ではありえない異常を察し、真柴さんと目を合わせる。
「なんだ?」
「エンジンでしょうか」
互いにそう発した直後、警報装置が作動すると共にモニターにチェックリストが立ち上がる。それを見て、俺たちは愕然とした。
「エラーが……」
「いくつあるんだ、これ」
見たことがない数のエラーメッセージが表示されていて、真柴さんも思わず戸惑いの声を漏らした。不具合が重なった場合を想定した訓練でさえ二、三個なのだから当然だ。
しかし、驚いている場合ではない。真柴さんは操縦を、俺はチェックリストに基づいた不具合の対処をすぐに行い始める。
数分後、右エンジン火災の警告メッセージが表示され、続けて火災警報音が鳴った。緊張が走り、俺は固い声色で「Right engine fire(右エンジンに火災発生)」とコールする。