2人なら…「推しと彼氏と彼女の関係」
風を切り刻む。ビートは1ミリもはずさない。
激しさの表現の裏でふわりと呼吸する。
踵は床に音を吸収させ…ひらりと着地する。
体感でハートを引っ張っていないと…身体は一瞬にして持って行かれてしまう。
いつだって俺は不安で自信がなくて…。
もう逃げるのは嫌だ。誤魔化したくない。
夢からもハルからも…逃げたくないんだ。
だから、このスポットライトは離さない。こいつのターゲットは俺だ。
聞いた人の体温を上昇させてしまいそうな、スゥの歌声にtaigaさんはククッと肩を振るわせ、唇を尖らせ
ホールの高い天上に視線を滑らせた。
爆音と共に曲が終了する。
3分45秒…
高く突き上げた拳を見上げるとやっと自分が息をしていることに気づいた。
一瞬…しんとした会場が、吐く息と共に響めく。
観客の声が強いシャワーのように降り注いで…聞こえているはずの耳が別の役割を果たしているかのように
わんわんと遠くで声が騒いでいるように聞こえた。
「スゥーーーー!!」
「最高ーーーー!!」
「キャーーーーーー!!」
歓声は悲鳴に変わり、鳴り止まない拍手にtaigaは静かに頷いた。


