わがままシュガー
「佐藤は、私が会ってきた中で一番信頼出来る男だと思うよ。まぁちょっとおバカなところはあるけど」
緑はそう耳元で囁いてくれる。
その声は、もちろん歌っている二人には聴こえていない。
佐藤はちょっと不満そうな顔をしてこちらをチラチラと見ているけれど。
「和香の不安も、わからなくはないんだよ。どうせ釣り合わないとか思ってんでしょう?」
「……緑には、隠せないもんだね」
「二年も一緒にいるんだから、ね。でもさ、和香は私が見て来た視点を知らないでしょう?」
そう首を傾げてこちらに顔を向ける緑に、私も首を傾げる。
そりゃあもちろん、私は緑の視点を見られるはずがないから、知らないけれど。
「自分じゃわからないだろうけどさ、佐藤と関わってどんどん和香は感情を出せるようになっていったの、私たちが一番近くで見てるんだよ」
それは……佐藤も言っていた気がする。
自分では本当に……わからない、けれど。
『和香、自分が話す時に考えすぎて黙ることとか無くなって来てんの、自分で気付いてる?』
私の変化は、自分が思っているよりも周りにはわかりやすかったみたいだ。