わがままシュガー


そう返された鞠は大喜びしているけれど、待ってそれ前にお遊びでホームページ見に行った時五千円とか書いてあったやつ……。

どこまでも容赦のない二人に顔を引きつらせながら、私は佐藤に連れ去られていった。

佐藤、その時は私も半分出すからね。



私は佐藤に手を引かれ、カラオケのビルを出る。

家に帰る方向を辿ると、何を思ったのか途中にある公園の前で足を止める佐藤。

そこは、佐藤に初めて男だと暴露された時の、あの公園。



「……あの日の俺、すーごい酔ってたフリしてたけど」

「………………え、あれフリだったの?」

「今日はシラフだから。なんも言い訳出来ないから」



キュッと、優しく手が引かれる。



「和香も、もう逃がさないからね」



手を引かれて足を踏み入れるのは、あの時フラフラとした足取りでギャルの佐藤が入って行った公園。

あの時と違う男の姿で、緊張した面持ちの佐藤氷に促されて、私たちは二人並んでベンチに座る。



夕日の射し込む、オレンジ色の公園の中、私は心にひとつの決心を抱えて、彼の瞳をじっと見詰めた。

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