わがままシュガー


「アンタのせいで寝れなかったって、言ってんのに」

「あーしのせいで眠れなかった和香が、あーしの手の中で寝てくれるなら、本望だぁよ」



いちいち、語尾に星やらハートやらをちらつかせて来る言い方は癪に障るけれど、不思議と真っ暗になった視界の中では、そんなこともどうでもよくなってきていて。



「……佐藤、は……私の知ってる佐藤、のまま?」

「……うん、あーしはあーしだよ。これまでもこれからも」

「……ん」



そんなに簡単に、とっくに解きほぐされていた警戒心なんて戻ってくるはずもなく。

聴き慣れたハスキーな声に、心臓がとくん、とくんと落ち着いて来て。



そのまま私は、まどろみの中へと落ちていく。

佐藤の声は、前から変わらず、ずっと、心地のいいままだ。



「おやすみぃ、のどか」



深く深く、沈んでいく。

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