音に祈りを！歌に願いを！

「大丈夫だよ……陽音、何があったの？嫌だったら、全然話さなくてもいいんだけど……」

……悠は、今までの友達とは違う……真空みたいに、信じて話してみようかな……でも。

「……陽音。俺は、話したい時に話せばいいと思ってる。陽音が話したいなって思ったタイミングで、大丈夫だから」

そう言って、悠は優しく微笑んだ。今まで見てきた笑顔よりも、ずっと温かくて優しいもので……。

「…………もう、疲れた……『俺』という自分を、明るい自分を……演じるのが……」

気付いたら、泣きながら悠にすべてを話していた。

僕の両親は仕事にしか興味がなくて、ほとんど家にいないこと、帰って来ると怒りを暴力か暴言で僕にぶつけてくること、昔は仕事よりも僕のことを考えてくれていたこと、ある日を境に突然両親が変わったことなどを。

「……僕は、いつの間にか明るい自分を演じるようになった。そうすれば、誰も気付かないから……でも、でも……もう、限界なんだよ」

悠は憂いを帯びた表情で、無言で僕の話を聞いてくれている。

「……そっか……陽音、良く頑張ったね。しんどかったよね……苦しかったよね」