音に祈りを!歌に願いを!
そう言って、悠は僕を見ると幸せそうに笑う。

「……今は、誰が好きかは教えない。でも、いつか教えるから……それまでは、生きてよね」

悠の言葉に、笑顔に、僕の胸が高鳴るのを感じた。

そっか……悠は、僕には……本気で生きて欲しいって思ってるんだ。嬉しい、な……心が温かいや。

「……嬉しいよ……そんなこと、言われたの初めてだから……」

「……ふふっ。気が変わった!今から、カラオケに行こう!2人で、歌に生きたいって願いを込めよう!」

悠は、そう言って僕の腕を掴むと走り出す。

悠の好きな人が、僕だったら良いのに。そう思ったのは、内緒の話。
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