獅子組と私
勤務が終わり外に出ると、雨が降っていた。

「嘘ー、天気予報では曇りって言ってたのに……
どうしよう……」
「エビちゃん!」
「へ!?村部さん?」
「傘ないの?」
「はい。だから、小降りになるのを待ってます」
「僕の傘に入りなよ!送るよ?」
「え?あ、大丈夫ですよ。急いで帰らなきゃってわけじゃないし!」
「いいから!」
そう言って、手を掴まれグッと抱き寄せられた。

その瞬間、身体中がゾッとして鳥肌がたった。
椎那自身も、びっくりしている。
一気に嫌悪感が増し、恐怖でいっぱいになったのだ。

「━━━━━━嫌!!」
「え……エビちゃん?」
「あ、ご、ごめんなさい!
わ、私……失礼しました!」
そう言って、駆け出した椎那だった。

(飛鳥くんに会いたい)
その一心で、ずぶ濡れで大学に向かう。

大学の門まで来たのはいいが、当然飛鳥は講義中。

「私……何やってるんだろ……?」

「椎那…さん…?」
「え?あ、花江ちゃん……!」
「ちょっ…どうしたんですか!?傘は?びしょびしょ……」
花江が慌てて、傘の中に入れてくれる。

「ありがとうございます。あの…飛鳥くんは今、講義中ですか?」
「ちょっと待ってくださいね!」
花江が確認をしてくれる。
「………もう少しで終わりますよ。でも後一限あるみたいですね」
「そう…ですか…」
「………」
「………」
切なく瞳を揺らす、椎那。

「………椎那さん、私今日はもう終わりなので、学食でお茶しませんか?学食なら、一般の人も入れるので…!」
花江が気を遣い、声をかけた。

「はい…ありがとう…ございます」

「結構、美味しいでしょ?ここのケーキ」
「はい!美味しい!」
「学食だからって甘く見てたんですが、意外に美味しくて穴場なんですよ?」
「フフ…花江さん、可愛い!」

「え!?可愛い!?そんなわけ……私、太ってるし…」

「うーん、そうゆうことじゃなくて、雰囲気というか……」
「なんか、恥ずかしい////」
顔を赤くする花江だった。
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