獅子組と私
「なんでぇ……!!!」
飛鳥がスマホを握りしめて、突然大きな声を出した。

「飛鳥?」
「椎那に繋がらないの!!」
「え?でも、とっくに仕事終わってるよね?」
「屋敷で寝てるとか?」

「いいや!GPS使うから!」
飛鳥がそう言って、再度スマホを操作しだした。

実は椎那にプレゼントしたネックレスには、GPSがついている。
獅子組のキングの彼女ともなると、色々危険も多い。
その為、椎那には内緒でつけさせたのだ。

「どこにいる?椎那ちゃん」
道彦が、飛鳥のスマホを覗き込んだ。
「え━━━━??」
「どうしたの?」
滉二と一朗も、覗き込んだ。

「「「「学食?」」」」

「なんで、椎那…学食いるの?」
「飛鳥に会いたくてとか?付き合い始めはよく清美も来てたもんな!」
「あー、そうだったね!」
「でも最近、来ないな…!
………とにかく、行こうよ!学食」

そして学食に飛鳥達が着くと、椎那をすぐ見つけることができた。
それは、椎那が学生に囲まれていたからだ。

道彦がブルッと寒気がして横を見ると、飛鳥の雰囲気が黒く染まっていた。

「あ…すか…?」
「ヤバくない?」
「だな…」
滉二や一朗も、狼狽えだした。

「………」
飛鳥は無言で、近くにあったテーブルをおもいっきり殴った。

ガン━━━!!!と鈍い音がして、テーブルにヒビが入った。
その音に学食内の人達が、飛鳥達に注目した。

「あ!飛鳥…く…ん…」
椎那が飛鳥の存在に気づき、身体を震わせた。
飛鳥の雰囲気があまりにも恐ろしかったから。

「椎那!!おいで?」
飛鳥は、いつもの笑顔で両手を広げて待っている。
「え…あ、あの……」
「早く!!椎那!!来てよ!
椎那から、僕の方に来ないと意味がないの!
椎那に必要なのは、僕だけなんだから!」

「う、うん…」
椎那はゆっくり飛鳥の元に向かった。
そして力強く抱き締められる。
「びっくりしちゃった!まさか、大学に来てるなんて……」
「ちょっと…会いたくなって…ごめんね、急に…」
「うん!可愛い~!」
椎那が飛鳥を見上げて言うと、飛鳥も満面の笑みになり嬉しそうに言った。
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