獅子組と私
その頃の飛鳥━━━━━━━
道彦達と講義中だ。

飛鳥「ミチ、コウ、イチ…」
道彦達に、小声で呼びかける飛鳥。

道彦「どうした?」
飛鳥「これ、見て」

飛鳥は、道彦達にスマホの画面を見せた。

滉二「飛鳥、これ……」
一朗「椎那ちゃん…!?」

【飛鳥くん、講義お疲れ様。
元同僚の深川さんって子に食事に誘われたの。
信用できる子ではあるんだけど、なんとなく様子がおかしくて……何かあったら嫌だから、報告しておきます。また行く場所がわかったら、連絡するね!】

道彦「このメール、一時間も前だよな?」
滉二「なのに、場所の連絡がない」
一朗「なんか、嫌な予感すんだけど…?」
飛鳥「僕、行ってくる」

道彦「俺も行く」
滉二「俺も!」
一朗「もちろん、俺も!」
飛鳥「フッ…!!さすが!」

三人が飛鳥に微笑む。
飛鳥も大きく頷き、微笑んだ。


椎那が男に連れられ戻ると、深川は既にいなかった。
「椎那ちゃーん!こっちにおいでよぉ!」
「あの、ほんとに帰してください!」
「えーー!なんでぇ!」
「彼が心配するので!お願いします!」
「じゃあさ……」
グッと、椎那に顔を寄せてくる男。

「え……ちょっ……」
「ヤらせてよ?」
「は……!?」
「記念にさせてよ!クイーンとヤるなんて、スッゴい記念になるしぃ!」

何を言っているのだろう。
セックスというのは“記念”でするものだというのか。
少なくとも椎那は、とても大切な意味がある。
だから飛鳥に出逢うまで、身体を開けなかった。

古い考えと言われようが、椎那にとっては愛し愛されている故の行為だ。

「そんなこと!無理です!
私、帰ります!」
椎那は無理矢理立ち上がり、去ろうとする。

「フフ…こっから出れると思ってんの?」

その椎那の背中に呼びかける、男。
「え……?」
「椎那ちゃんみたいな、弱っちぃ女には無理だよ?」
「見てみてよ?この人数の男がいるんだよ?」
「………」

「みんなで、楽しもうよ!」
「………」

椎那は、飛鳥からプレゼントされたネックレスを握りしめていた。
「飛鳥く………すけて…」
「どうせ逃げれないんだし!」

「飛鳥くん!!!」

ドン!ドン!ドン……!
バン━━━━━━!!!
その時ドアを蹴る音がして壊れ開いた。
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