強引でロマンチストなホテル王に溺愛されました。
 ジェラートはアイスクリームと違って素材そのものの風味が強い。

 中でもケントに勧められたピスタチオは格別だった。

 ハマっちゃうかも。


 と思いつつ、種類はかなりたくさんあるので他のも気になる。

「ケントのレモンもサッパリしてそうでいいですね」
 なんて言ってしまったのが悪かったのか。

「食べるか?」
 と一口分すくったスプーンを差し出されてしまった。

 これは間接キスになっちゃうんじゃあ、と少しためらったけれど、ケントは自然体で何かを意識している様には見えなかった。

 それにキスもそれ以上もした仲なのに今更間接キス程度で動揺するのもおかしい気がする。


 でも恋人でもないのにこういうことをするのはどうなんだろう?

 と迷っていると。

「ほら、早く食べろ。溶けてしまうぞ?」

 と急かされて思わずパクリと食べてしまった。


 レモンのジェラートは甘さも控えめで思った以上にサッパリしていた。

 でもこういうのも好きだなぁ。

 なんて感想を抱いていると、優しい眼差しで、でも少しイタズラっ子のような笑みを浮かべたケントが口を開いた。


「これは、間接キスだったかな?」

「っ!?」

 意識している様には見えなかったけれど、狙ってはいたってことだろうか?

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