強引でロマンチストなホテル王に溺愛されました。

 でも、これは明らかにケントのせいでしょう。

 こっちは私が眠った方のベッドだし、寝ぼけてケントのベッドに入ったという訳じゃ無い。
 明らかにケントが私が寝ているベッドに入ってきた状況だ。


「……困る」

 本当に困る。

 ケントの腕の中が心地良いと思えてしまうのが、一番困る。


 私は、このまま貴方を好きでいて良いの?
 好きでいて、傷付く結果にはならないの?

 疑問は口には出せない。

 どうせ今言っても聞いていないんだからというのもあるけれど、もし答えが返ってきてそれが否定の言葉だったらと思うと怖い。


 ケントの腕に抱かれながら、臆病な私は口を閉ざした。
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