神、恋に落ちる
「え…?」
「俺は、白羽にだけは嫌われたくない」
「命…さん…」

「一徹や、天使ちゃんにも嫌われたくないけど……
でも!白羽“だけ”は何があっても嫌!!
嫌われたら、俺はおかしくなって狂って壊れる…!
だから━━━━━━んんっ!!」
白羽が、命の口唇を奪った。

「…………はぁはぁ…
━━━━き…大好きです!」
口唇を離した白羽が、口元で囁き言った。

「白羽、俺も好きだよ」
「好き、好き、好き、好き、大好きです!」
「白…羽…?」
「ちゃんと、受けとめますから!教えてください!
命さんの全部……!」
「………」

「命さん、あの……」
何も言わない命に、不安が押し寄せてくる白羽。


命は………白羽の思いがけない告白に、身体が昂り欲情していた。
35歳の命。
35歳ながら、様々な経験をしている命。
こんな狂喜に震える告白をされたことがない。

「………いいよ」
「命さ…」
「教えてあげる。全て━━━━━━」


マンションに帰りつき、ベットルームに直行した命と白羽。
「ん……命さん…」
「フフ…椎那、可愛い……可愛いなぁ…」
ベットの上に座っている命の上に、跨がるように座っている白羽。少し白羽を見上げ、チュッ!チュッと命のキスが頬や鎖骨、胸元に落ちてくる。

「ん…あ……んぁ…」
「約束通り、教えてあげるよ?何でも。
でも、このままね?
そうすれば……白羽は“絶対”俺から逃げられない。
フフ…可愛い……何から聞きたい?」

「んん…
今日…私を襲った人達と会ってたんですか?」
「うん、地獄に落とさないと俺の気が済まなかったから」
「ま、まさか!殺……」
「……してないよ。そんな、優しいことはしない」

「優しい?」
「そう。殺すなんて…死んで楽になんかさせない。
生きて、地獄をあじあわせるんだよ!
俺はね、ずっとそうやって生きてきた」

「え……?」

「俺は、七歳の時に両親が死んで叔父夫婦にで育てられたの。
その叔父夫婦が最低な奴でさ!
俺、奴隷みたいに扱われてた。
じぃちゃんが大富豪で、俺はじぃちゃんに可愛がられてて将来は俺に全部相続させるって言ってたから。
それから中学卒業する九年間、地獄を見た……
死ねたらどんなに楽かって何度死のうとしたか……
でも、死ねなくてただ耐えてた。いつか夫婦に仕返しをしようって、それだけを願って……
その時の支えが、一徹だよ。
一徹が、陰で色々助けてくれたんだ」
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