神、恋に落ちる
「中学卒業して、俺と一徹は叔父夫婦を殺そうとしたの」
「え………」
「長い時間をかけて計画を練って……
でも、結局できなかった。なぶり殺してやろうと思ったんだけど……
ここで殺したら、夫婦が“楽になる”
俺は死にたくても死ねなくて地獄を見たのに、こいつ等は死んで楽になる。
そんなの嫌だ!って」

「だから、今回も殺してないってことですね」

「そうだよ。楽になんかさせないよ?
白羽は地獄を見たのに、あいつ等は楽にするなんて許されない!
だから俺は、それからも生きていく為に残酷に生きてきた。傷つけられたら、仕返しをする。
“目には目を歯には歯を”ってヤツ?
そうやってく内に高二になってすぐだったかなぁ?
叔父夫婦が事故で死んだんだ」
「じゃあ…その後は……」
「そうだよ。それから一年後にじぃちゃんが死んで、神石の全てを相続して、今に至るって感じかな?
…………って、白羽!どうして泣くの?」

白羽は命の話を聞いていて、涙が伝っていた。
命は白羽の涙を拭い、頬を両手で包んだ。

「命さん、そんな辛い思いを………」
「でも、叔父夫婦が死んでからは、幸せだよ?
特に!今なんか、とーっても幸せ!!
愛する白羽と一緒にいられるなんて!
これ程幸せなことはない!
白羽は?幸せ?」
「はい、幸せです」
「フフ…嬉しいなぁ!
白羽、俺のこと好き?」
「はい、好きです」
「俺も大ー好き!」

「命さん」
「ん?」
「私は、命さんの為に何ができますか?」
「傍にいて」
「はい」
「俺だけを見て」
「はい」
「これから何があっても、俺を受け入れて」
「はい」
「俺に、白羽の全てをちょうだい。
心、身体、これからの人生……全部!」

「………はい。
なんか……」
「ん?」
「プロポーズみたい…/////」

「フフ…そうだね。じゃあ…結婚、しようか?」

「え…////」


「白羽、俺のお嫁さんになってよ!」
「あ、あの……」
「嫌?こんな穢れた俺のお嫁さんは……」

「違います!
命さんは綺麗です!
幸せになりたくて、自分を守る為に残酷なことをしてきたかもだけど……
みんな、誰だって誰も傷つけずに生きていくなんて無理です!」
「うん」

「突然だったから、びっくりしちゃっただけです。
私は、命さんのお嫁さんになりたいです!」

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