神、恋に落ちる
「はぁー、なんでみんな、邪魔するの……」
「命さん?」
「白羽~ギューってしよ?」
命は白羽を起こし、抱き締めた。
白羽も命の背中に手を回しゆっくりさする。

白羽の肩に顔を埋めた命。
白羽の手の心地よい感覚に目を瞑る。

そして目を開け、視線が鋭く光った。
「………………ほんっと、虫螻は手がかかる…」

「え……みか…ど…さん?」
命の雰囲気が途端に重くなり、身体に大きな石が乗ったような感覚になる。
白羽は身体を強張らせた。

「ううん~!白羽、ごめんねー
今からお出かけするから、準備しようね~」
腕を解いて白羽に向き直り、ニコッと微笑んだ。

そして一徹のクラブに向かった。
中に入ると、奥から女が向かってきて命に抱きついてきた。
「え………」
(誰…?この人)
白羽は放心状態で、命と女を見ていた。

すると命が女を、凄い力で突き飛ばした。
「キャッ…!!?
…ったい…!!神!何す━━━━━━!!!」
女が抗議をしようと命を見上げると、命は凄まじい目付きで女を睨んでいた。

「おい、虫螻…」
「あ…神……ご、ごめんなさ…私、どうしても…会いたくて……」
「うるせーよ…」

「み、命…さ……」
白羽も命の雰囲気に怯え、恐る恐る声をかけた。

「あ…ごめんね!白羽、怖かったね…
一徹の部屋に行こう!天使ちゃんもいるから、二人でお茶でもしてて!」
ガラッと態度が変わり、微笑んで白羽の頭を撫でる命。
「え……何する気ですか!?一緒にいましょ?
放れないでって言ってたじゃないですか!?」
白羽は命のジャケットを握りしめ、見上げてすがる。
殺しはしないかもしれないが、何か恐ろしいことになりそうなのだ。

その白羽の姿と行為は、命の欲を掻き立て煽る。
「……あぁ…可愛い…可愛すぎる……!
ねぇねぇ…もっと、懇願して?」
白羽の頬を両手で包んで、瞳を覗き込んだ。

「命さん…///一緒にいましょ?」
顔を赤くし、上目遣いで言った白羽。
「はぁぁ……可愛い…
もっと…俺を求めて……?」

命の異常な狂愛が、白羽の捉え縛りつけていた。
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